5. ブレース(装具)って?

ブレースで治療することが決まったとしても、多感な年頃の患者様にとって 身体に直接装着するブレースというと、想像しただけで抵抗を感じることと思います。 また、初めてブレースを着けるということにも不安を感じてしまうでしょうから、 できるだけ抵抗の少ないブレースを選んであげたいものです。

側わん用ブレースにはたくさんの種類があります。
このページではどのようなブレースがあるのかタイプ別に紹介しましょう。

まず構造的な違いから、ミルウォーキー型とアンダーアーム型の2つのタイプに大きく分けることができます。 また、そこから派生したさまざまなタイプのブレースがあります。
ミルウォーキー型
もともと側わんの矯正には、石膏で胴体を固定する方法が一般的でした。 1945年頃にミルウォーキー型のブレースが開発され、 それ以後しばらくはこのブレースが側わん矯正の基本形でした。 腰の周りのガードルで体幹を固定させ、そこから顎(あご)方向に向かって身体の前に1本、 後ろに2本の金属棒を伸ばし、首の周りでそれらの金属棒を固定させる構造になっています。

このブレースは装着するのも大変で、外見から装着しているのがはっきりと分かってしまいますので 患者様は着けたがりません。 とは言っても、以前は胸椎の上のほう(上から6番目の胸椎より上)にカーブがある場合には このブレースで対応せざるを得ませんでした。 また、現在でも、先天性の脊椎変形やショイエルマン病(若年の胸椎後わん症)といった特殊な症例に はミルウォーキー型ブレースが多く適用されております。
アンダーアーム型
その後の研究により、主となるカーブが下のほう(胸椎の7番目より下)にある場合は、 ミルウォーキー型ブレースに付いている金属製部品を取り外しても同様の効果を得られることが判りました。 これらのブレースは、脇の下までに収まるような形状をしているので「アンダーアーム型」と呼ばれています。 アンダーアーム型ブレースには、ボストン型、マイアミ型、チャールストン型、ニューヨーク型、OMC型など、 開発された都市や病院施設の名称で呼ばれるブレースが多種あります。
OMC型
日本国内で開発されたOMC型は、アンダーアーム型ブレースに胸椎カーブ矯正用の金属バーを取り付けたタイプです。 ミルウォーキー型までの複雑さはなく、胸椎上部にカーブがある場合に適したブレースです。
上記装具装着写真はすべて、(社)日本義肢協会編「義肢・装具カタログ」より許諾転載

次に、多数あるアンダーアーム型ブレースの中から、 当社が推奨しています「ボストンブレース」を紹介します。
※一般にアンダーアーム型タイプの側わん用ブレースを総称して 「ボストンブレース」と呼ぶこともありますが、正式には「ボストンブレース(Boston Brace)」は、 Allard UK社 (旧社名:BBEヘルスケア社)の製品名です
ボストンブレース Boston Brace
「ボストンブレース」もアンダーアーム型ブレースの一種です。 「ボストンブレース」の名称は、開発地であるアメリカのボストン市から付けられました。 30年以上前に「ボストン小児医療センター」の整形外科医John Hallと装具士Bill Millerの共同で開発され、 以後継続的に改良されてきました。

ボストンブレース開発以前は、ボストン小児医療センターでもミルウォーキー型ブレースで 側わん治療していました。 しかし「特発性側弯症」の患者様は思春期の女の子が非常に多く、 やはりブレースの装着には抵抗があったようです。 ブレースに対する抵抗感が強いと、 「ブレースを装着するのが嫌だ」「ブレースを着けろと言われてるけれども、着けたふりをしておこう」 というようなことになって、ブレース装着を拒否してしまうのです。

ボストン小児医療センターでは、できるだけ多くの子供たちに抵抗なく装着してもらえるブレースに するため、「何とか金属部品を使用しないでカーブ矯正ができるブレースを開発する」 というテーマに長年に渡って取り組み、試行錯誤を繰り返しました。 その結果、 プラスチックだけで作られており、軽くて装着していることが目立ちにくく、 さらに装着感も良い、「ボストンブレース」 の開発に成功しました。 そして、胸椎6番目から7番目以下にカーブがあるほとんどの場合においては ボストンブレースが充分に効果的であることを実証しました。 (参照文献:John B. Emans, SPINE, VOL.11, 1986)

ほとんどのブレースではどこかに金属部品が使われており、 衣服を着てもブレースを装着しているのが 分かってしまいますが、 ボストンブレースは金属製の部品を全く使用していないので、 ブレースの上から衣服を着ると、装着している事はほとんど目立たちません。 また、 採寸 だけでブレースを作成することができるので、 採型(石膏を直接身体に付けて型を取ること)をすることへの心理的・肉体的負担も 取り払うことができます。 (注:側わんの状態や医師の指示によって採型を行なう場合もあります)
掲載されている写真はすべて(株)洛北義肢に帰属します
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