POテクニシャンの教育と能力開発
はじめに
POテクニシャンはとても特殊な仕事です。まずは多種多様なモノを正しく作る技術を身に着ける必要があります。さまざまな技術を身に付ける中で、どの班でも活躍できるように多能工を目指してもらいます。さらに全体を見回して班の工程や全体の工程を見回せるようになれば管理職としての道も開けます。それぞれのステージでしっかりと学んでもらう機会と環境そして資金的なサポートもきちんと提供しています。
新人研修制度
POテクニシャンには入社から10年目までパスウェイが設定されています。
初めの10日間は他部署の新入社員と一緒に会社のルール、ISO9001、関連法規や義肢装具のことなどを学びます。今まで学んできたことや知らないことなどをお互い支え合い教え合って10日間の研修を終えます。毎年同期との特別な絆が産まれるようです。
その後、配属予定の班に配属され、先輩社員がパートナーとして指導を担当します。ここからOJTが始まります。実際の製品に携わり簡単な作業から始めて複雑な作業を学んでいきます。パートナーと一緒に毎週面談を行い現在の修得度や到達点、これからの課題と改善事項について話し合い、翌週の予定と目標を決めていきます。この面談には班の上司も参加し10月末までキメの細かい指導が続きます。この研修の終わりを持って新人研修が終了します。
また新人研修から1年目終了までをめどに2つの検定を取得してもらうことを2022年から始めています。QC検定4級の取得と有機溶剤作業主任者講習の受講です。QC検定で患者様がお使いになる品質管理の基礎を、有機溶剤の検定で自分の体を守る大切さを知ってもらいます。他にも年次や配属に応じて取得を目指して欲しい資格を表に示しています。
新人研修後
新人研修後、製造部もCPD制度(継続的プロフェッショナル育成開発制度)を活用して継続的なプロフェッショナル研修を行います。
CPD制度を用いて上司と一緒に年間の研修計画を立てます。そして一年後審査を受けます。初めは製造部員にはCPD手当が支給されませんが、CPDの審査を通過すると製作技能士の受検が許されます。そして厚生労働省の義肢あるいは装具製作技能士2級の検定に合格すれば、CPD手当が支給されます。2級で月5000円、1級取得で月10000円です。2級の技能士検定を受検するには2年以上の実務経験が必要です。1級は2級取得後2年後か実務経験7年で受検資格の取得が可能です。現在、QC検定3級など他の検定や資格についても導入を検討しています。
3年目以降にパートナーとして新入社員の教育に携わります。人に教えることでさらに学ぶ、新入社員とともに学ぶ、人を実際指導して指導することを学ぶ、上司から客観的評価を得て指導者としての自分を学ぶことになります。人を教えることはたいへんなことですが、担当した新入社員との特別な時間を過ごすことになり、とても良好な関係をパートナー終了後も築くことになるでしょう。
出勤土曜日は研修日として班単位での技術講習会を開催しています。説明と実技のデモンストレーションから始まり課題を与え実技を行います。班での特殊な技術の習得と共有そしてチームワークの向上を目的としています。班を飛び越えて研修を受ける社員もいます。
5年後以降
我々は多能工の育成を目指して班の異動を行っています。POテクニシャンの配属先での修練度が高くなると他の班への異動をお願いします。他の班で別の技術を習得するためです。新しいことに挑戦することで緊張感をもって学んで欲しいこと、新たな経験を積むことによって新しい技術を身に着けること、視野を広く物事を見る能力を養ってほしいからです。各班を経験することで大きな枠で製造部を見ることを学び、管理職としての一歩を踏み出して欲しいという想いもあります。
このころには、工程内検査や是正処置に関われるようISO9001をしっかりと理解して欲しいと考えています。品質管理委員会への参加やISOの内部審査や外部審査などで重要な役割を先輩とまずは一緒に担当してもらうことで学びます。ISO9001の運用にとって大切な一員として最終検査にも関わり会社全体の改善活動に関わって欲しいです。
最新の義肢装具の講習会やハンズオンセミナー、製作セミナーなど、会社として必要な技術や知識の修得を要する場合は義肢装具士と一緒に会社からの出張として参加してもらうことがあります。他府県だけでなく海外の研修もあります。それまでの実績や貢献度、業務への必要性などで派遣する同僚が決まります。ドイツ、南アフリカ、タイなどへの派遣実績があります。
まとめ
製造部では義肢装具の製作技術から品質管理、チームワーク、リーダーシップまで多様なことを学ぶことになります。まずは10年色々な経験を積んで、POテクニシャンとして頑張っていくのか、管理職として頑張っていくのか、10年後自分の生き方に合わせて選択肢を持てるように過ごして欲しいと願っています。